当時の経緯を、管理本部 情報システム部 システム企画課長の藤幹昌宏氏は、次のように語る。「3 月下旬に本社オフィスで感染者が複数名出て、ビルを一時閉鎖する事態となりました。当時はまだ感染症自体の情報も少なく、どのように対処すべきか社内はかなり混乱しましたが、急きょ工場など他の拠点をサテライトオフィスとして本社機能の一部を移し、加えて外部のシェアードオフィスを契約、利用するなど、事業継続のためにあらゆる方策を検討、実施しました。」
同社ではそれ以前から、働き方改革の視点でテレワークの推進は検討していたものの、卸商と製造商社という業務特性的にリモートで実施できる業務が少なく、その展開はゆるやかだったという。「社外からのリモートアクセスに関しては、情報システム部内でVPNとリモートデスクトップの2 つのサービスを試行していた段階で、テレワークはまだ制度面も含めて検討中の状況でした。しかし、社内の状況に加えて4 月中旬、政府から緊急事態宣言が発出される事態となり、社内各所からテレワーク可能な仕組みを求める声が一気に高まりました。そこで緊急措置として試行段階の2 つのサービス利用を段階的に拡大し、すぐに300 名ほどが利用するようになりました。」