導入詳細
経緯基幹システムの刷新を機に、複雑・老朽化した
DCネットワーク構造の抜本的な見直しを決断

情報システム部 部長
北川 浩平氏
今回のプロジェクトの背景を、情報システム部 部長の北川浩平氏は、次のように話す。
「コロナ禍で消費者の購買行動のデジタル化が加速しましたが、当社では店舗における商品との出会いや感動を重視し、EC 戦略との共存を図ることで、着実に成長を続けています。店舗展開していることもあってコロナ禍のテレワークニーズも他の業種ほど顕著ではなかったものの、従業員の心理的安全面への配慮や、必要に応じて提供可能な仕組みとしてBIPROGY からユニアデックスのクラウド型ネットワークサービス『Wrap(ラップ)』の紹介を受け、部内でPoC 的な試用も実施していました。その後、当社が利用する基幹システムを外部クラウドサービス利用に刷新することが決まり、長く保有してきたデータセンター(以下、DC)自体を見直したい意向が高まりました」

情報システム部 課長
小野 紫織氏
従来のDCおよび全社ネットワークの課題を、情報システム部 課長の小野紫織氏は、次のように明かす。「当グループでは大きく、ファッション事業を手掛けるのマッシュスタイルラボとビューティー&ヘルスケア事業を展開するマッシュビューティーラボという、2 系統のネットワークが存在しています。それら各店舗が利用する基幹システムとの接続や、本社、支社など業務拠点間の接続もすべて、DCを経由する構造となっていました。そのDCではVPNを含めたネットワーク構成や経路も、経年で非常に複雑なものになっていたことに加えて、中には老朽化した機器やシングルポイント、冗長化されていない経路なども存在し、急速な事業の成長を支える基盤として見直しが必要でした。そこに基幹システム刷新計画が持ち上がり、この機会にネットワーク基盤についてもこれまでの個別最適を改め、全体最適の視点での全面的な刷新を決断しました」
プロセス国内拠点と約500の店舗ネットワーク基盤にWrapを採用
高いセキュリティー性とストレスフリーな利便性を評価
同社から相談を受けたBIPROGY は、「店舗端末および各拠点とアクセス先システム間にWrap を利用することで、従来のDC 構造そのものを撤廃する」というプランを提案。同社が求める機能要件も満たし、DC 撤廃期限である2022 年秋までの実施も可能と判断され、採用が決定した。
「Wrap(ラップ)」とは、「モノ」「ヒト」「コト」をシームレスにつなぐために必要なすべてを「ラッピング(ひとまとめに)」して提供される、ユニアデックスのクラウド型ネットワークサービス。仮想LTE により、どこからでもキャリアグレードのセキュアな通信で、企業ネットワークにアクセスすることが可能になる。
採用の理由を北川氏は、「Wrap は特定キャリアのサービスや電波への依存がなく、TCP/IP 通信が可能な回線であれば利用可能であることに加えて、通信がインターネットへ露出することなく、閉域SIMと同等の高いセキュリティーが保てる点が魅力でした。そしてなにより、ユーザーである社員が特に意識することも特別な操作も必要とせず、端末を開けばすぐに利用できるストレスフリーな高い利便性が決め手となりました。これは、社員が接客やプランニングなど本来業務に注力できることに加えて、管理者であるわれわれも問い合わせ対応などの業務負荷を軽減できる、非常に重要なポイントでした」と話す。
さらに小野氏は、サービス型として提供される点もWrap の魅力と語る。「Wrap はオンプレミスの機器やコンポーネントの新規構築およびその後の運用が必要ありません。これは短期間での移行を可能にするだけでなく、当社が推進するクラウドや外部サービスの積極的な利用という方向性とも合致します」
加えて北川氏は、BIPROGY への信頼感も採用のポイントだったと語る。「当然、今回のプロジェクトにおいて他社との比較検討も実施しましたが、BIPROGYとは過去のEC 基盤構築や今回の新たな基幹システム導入などで長い付き合いがあり、当社の事情や業務を把握してくれていました。そのため、確実に成功に導いてくれるとの信頼感がありました」

効果・今後運用管理の業務負荷を大きく軽減しながら全社に柔軟な通信環境を提供
経営基盤強化への貢献性も期待
リプレースのための準備も順調に進み、同社は予定通り2022年秋にDCを撤廃。2022年4月1日から、計800ライセンスでのWrap 利用が開始された。
同社ではWrapにより、大きく店舗系ネットワークと拠点オフィス系ネットワークの2つの経路を設定、制御している。各店舗からインターネット上にある新基幹クラウドシステムには、社内ネットワークを経由せずWrapでセキュアに、ダイレクト接続が可能。支社などの各拠点ユーザーは、Wrapが社内WANの役割を果たし、セキュアに本社ファイルサーバーにアクセスできる。さらにWrapは、店舗からは社内サーバーへのアクセスは許可しない、本社のWi-Fi環境から特定のシステムにアクセスする際は、自動的にオフになるといった、インテリジェンスな制御も提供している。
小野氏は管理面でのメリットをこう話す。「LTE 技術を使うことで端末単位での経路制御が細かく設定できるのもWrap の特徴。あまり細分化すると管理負荷がかかるため当社ではあえてシンプルな設定で運用していますが、一元的に全社ネットワークを管理、設定できることで、従来に比べ運用管理の業務負荷が大きく軽減しました。さらに、事情があってテレワークを希望する社員には在宅でもオフィスと同様のアクセスを許可する、移動が多い役員にはどこにいても社内と同じシステムにアクセス可能にする、といった個別設定も可能です。特に役員からは便利になった、と好評です」
北川氏は本プロジェクトの成果と今後の展開、そしてBIPROGYグループへの期待を次のように結んだ。「今回整備したWrapによるセキュアで柔軟なネットワーク基盤は、店舗の新設時にも迅速な提供を実現し、多様化する事業活動、社員の働き方にも対応しやすくなる効果が期待できます。例えば、当社はサステナビリティーや地域貢献活動にも積極的に取り組んでおり、被災地に公園を寄贈するグループのチャリティーイベント『MASHPARK PROJECT』などを展開しています。そうした際もWrapでネットワークを展開するなど、新たなアイデアが生まれています。将来のIPOを見据えた経営基盤強化を推進する当社では、今後もさらなる変革が続きます。BIPROGYならびにユニアデックスには、グループの総合力を生かした課題解決のヒントとなる事例などの情報提供や、先進のソリューション提供に期待しています」
2023年03月取材