システムの特徴
LTE over IPによる仮想プライベートLTEを用い、企業が管理すべきあらゆるデバイスを、セキュアかつ個別独立した形でユニアデックスのクラウドサービスに接続
社内システムや各種クラウドサービスなどのアクセス先への経路制御や優先制御・プロトコル制限など、端末ごとのエンドツーエンドの通信制御、セキュリティーをクラウド上で提供

導入詳細
経緯働き方改革とテレワーク推進への取り組みで
持ち出し端末のセキュリティー対策が課題に

総務人事部 人事課
渡邉 亮太氏
ミサワホームにおける働き方改革の推進と、今回のWrap 実証実験のきっかけについて、ミサワホーム株式会社 総務人事部 人事課 渡邉亮太氏は次のように話す。
「当社では『いつでも、どこでも、いつまでも、いきいきと』働ける環境づくりをスローガンとした『ミサワスマートワーキング』の実現に向けて 2021 年を目途に働き方改革に取り組んでいます。2017 年8 月には社長直轄のBR 働き方改革推進室を新設し、推進しています。2018 年7 月のテレワーク・デイズ※に参加したのですが、その際にさまざまな課題が挙がり、その解消が今回の実証実験のきっかけとなりました」

情報システム部 システム開発課
専任課長
森嶌 浩之氏
2018年のテレワーク・デイズの状況を、ミサワホーム株式会社 情報システム部 システム開発課 専任課長の森嶌浩之氏は次のように話す。
「この時はトライアル的に、まずはいつもと違う事業所で業務をしてみようということで、専用の端末を前もって送付した上で、40名ほどが他拠点に散らばり実施しました。すると、いつもと違うPCであることでネットワークへの接続の仕方がわからない、キーボードが異なり操作しにくい、といった声と共に、ショートカットが使えないため社内の共有ファイルサーバーへのアクセスが面倒、という声が多く寄せられました。やはりいつでもどこでも、通常と同じ業務を行うためには、日常利用している自分の端末が気軽に利用でき、社外でも安全に利用できる仕組みが求められます。ちょうどその後にWindows10への移行に伴い、新しいノートPCの社内展開が進んだこともあって、残るは通信面で、簡単で安全に接続できるソリューションを探していました」
※テレワーク・デイズ:総務省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省、内閣官房、内閣府が東京都および関係団体と連携し、働き方改革の国民運動として展開する取り組み。2020年東京オリンピックの開会式にあたる7月24日を「テレワーク・デイ」と位置づけ、テレワークの全国一斉実施を呼びかけた。2018年は4日間で1,682団体、延べ30万人以上が参加した。
プロセス利便性と安全性を両立するユニアデックスのWrapを評価
テレワーク・デイズ2019で大規模PoCを実施
同社はこうしたテレワーク時の課題解消を目指し、さまざまな検討を行った。クラウド型Webプロキシサービスや大手通信キャリアのサービス導入も検討したが、端末への負荷や運用管理の複雑さ、コスト面などで懸念があり、いずれも決め手に欠けていたという。
まさにそのタイミングで、同社はユニアデックスからWrapの提案を受ける。その際の印象を、森嶌氏はこう話す。
「Wrap の『端末を開いた瞬間、そこはLAN』そして『LANにだけつながるセキュアインターネットアクセス』という点が、まさに我々が求めているものだ、と感じました。ライトなエージェントを端末にインストールするだけで無線、有線、LTE などあらゆる環境から複雑な手順を行わずに接続できる操作性の高さと、一切インターネットに露出せずにプライベートLTE によって社内LAN に強制的に接続する安全性の高さ。さらに管理者側から見ても現状の管理手法がそのまま持ち出し端末にも適用できて、管理下における。経路制御や優先制御、プロトコル制限など、端末ごとのエンドツーエンドの通信制御がクラウドから提供される点も魅力でした」
この評価を受けてユニアデックスは2019 年5 月、ミサワホームとのPoC を開始した。環境により一部不安定な箇所などをユニアデックス側で改修を重ね、7 月22 日からのテレワーク・デイズ2019 において、Wrap を活用したリモートワークの大規模なPoC を実施することとなった。その成果を渡邊氏は次のように話す。
「2019 年は関連部署をはじめ、延べ600 名ほどが4 日間、テレワークを試行しました。そのうち120 名程度がWrap を利用したのですが、異なる環境でも違和感も面倒な操作もなく、普段通りに業務が行えた、と好評でした」
効果・今後利用者の満足度も高く、働き方改革推進に手応え
今後さらなるセキュリティー機能の拡充に期待
Wrap 導入に際してはハードウエアの導入、構築などは一切不要で、LTE エージェントソフトウエアを端末にインストールするのみ。インストーラーを配布したことによりユーザー側で対応でき、社内展開もスムーズであったという。
渡邉氏はWrap の評価について、次のように話す。「働き方改革推進室としても活動最終年度で具体的な施策を求めていましたし、今後さらに働き方改革を加速したいという思いがありました。その点で、利便性と安全性を両立するWrap は利用した社員から、これならどこでもいつも通りの業務が行える、といった声が多く寄せられ、確かな手応えを感じました」
同社は今回のPoC で好評を得たことで、2019 年末には本社で営業職220 人を対象にWrap の利用を開始。地方での営業経験もあるミサワホーム株式会社 総務人事部 人事課の河田崇亮氏はこう話す。
「当社は営業、建設、アフターメンテナンスを担当するCS 部署など業務が多岐に渡り、特に地方では会社に戻る移動時間に多くの工数がかかっています。出先で業務が行えればわざわざ会社に戻る時間やコストが削減でき、業務効率化が図れる社員が大勢いますので、これからそうしたニーズに応えていきたいと思います」
最後に森嶌氏は、今後の展開とユニアデックスへの期待について次のように結んだ。
「持ち出し端末ではシンクライアントが最もセキュアではありますが、端末が高価であることに加え、全社に安定したサービス提供を行うためのセンター側サーバーの強化や維持管理まで含め、多額のコストがかかります。そうした点でこのWrap は利便性と安全性を両立する、現実的な解だと考えます。拠点からのローカルブレークアウトや、海外を含む開発会社など外部パートナー企業との一定期間だけの接続、IoT デバイスでの利用など、活用の幅は広いと思いますし、さらなるセキュリティー機能提供など、サービスレベルの向上に期待しています。ミサワホームでは今後、さらなるセキュリティーの強化と、社員の働き方改革、DX に向けての取り組みが推進されます。ユニアデックスにはこれからもさまざまなエリアでの協業に期待しています」
2020年01月取材