導入製品

経緯人気のバックオフィスクラウドサービスのユーザー数急増によるデータの肥大化が課題
拡張性・運用性に優れたストレージが必要

執行役員
開発本部長
兼 第一開発部長
公手 真之氏
株式会社ラクスが提供する「楽楽シリーズ」は、企業の労務管理や経理などのバックオフィス業務を強力にサポートするクラウドサービスである。スマートフォンでも簡単に申請できる経費精算システム「楽楽精算」、取引先へ請求書をミスなく自動発行できる電子請求書発行システム「楽楽明細」、見積もりや受発注など煩雑な計算を自動化する販売管理システム「楽楽販売」など、近年の法改正・新制度への対応が求められる企業の人気を博し、急速にユーザー数を増やしている。
「楽楽シリーズは顧客志向型のサービスであることが特徴の1つで、導入前からコンサルティングなどの直接的なサポートを充実させています。開発チームもできるだけ顧客ニーズを吸収・反映できるように努めており、お客さまの意見を基にした機能も数多く実装しています。ランサムウエア対策やインボイス対応など、日本企業が必要とする最新の技術とサービスをすばやく提供できるのも私たちの強みです」と、同社の執行役員 開発本部長 兼 第一開発部長の公手 真之氏は述べる。
楽楽シリーズがサポートするバックオフィス業務は、電子帳簿保存やインボイス制度など、法や制度の変化に大きく影響する。特に変化が大きいのは、領収書や請求書など企業が管理すべき非構造化データの量である。ユーザー数の拡大も相まって、同社で保管すべきデータが爆発的に増大していった。

開発本部 インフラ開発部
東京インフラ開発 1課
課長
永易 健史氏
これまで同社では、これらのユーザーデータの管理にソフトウエア型のオブジェクトストレージ環境を利用していた。しかしながら、現在の容量とパフォーマンスを維持しながらデータの増大に対応しようとすると、現在10台運用しているサーバーを10年後には毎年30台購入・拡張する必要がある。さらに、データセンターで管理するには128ラックと試算され、サーバーの調達やメンテナンス作業の負荷、データセンターの費用まで含めると、将来の年間コストが甚大になると予測された。
「サーバーハードウエアとストレージソフトウエアが分離しているため、トラブル原因の切り分けが困難でした。また、それぞれのベンダーが異なるため、問い合わせも煩雑になり、解決するまでに時間がかかっていたことも問題でした。楽楽シリーズユーザーの重要なバックオフィス業務が遅延してしまうため、必ず改善しなければならないと考えていました」と、同社の開発本部 インフラ開発部 東京インフラ開発1課 課長の永易 健史氏は振り返る。
プロセス確実なストレージ環境のための事前試験を徹底
ユニアデックスのリードで導入を最適化

開発本部 インフラ開発部
東京インフラ開発 1課
リードエンジニア
松本 隆二氏
このようなストレージの課題を抱えていた同社は、ピュア・ストレージのスケールアウト型ストレージ「Pure Storage FlashBlade」に注目した。領収書や明細の画像などの非構造化データの管理が得意で、パフォーマンスも優れている。容量と性能を分離してスケールできるため、将来にわたって最適な拡張が期待できる点を評価した。また、データセンターのラックも大幅に削減でき、運用コストの抑制も大いに期待できる。
「ユーザーにとってミッションクリティカルなサービスですから、高評価のPure Storageといえども負荷試験や障害テストなどの徹底的な事前検証が必要と考えていました。ユニアデックスはピュア・ストレージと密に連係し、詳細なシナリオの作成などでPoC(Proof of Concept)を充実させ、楽楽シリーズを強力にサポートできるストレージであることを証明してくれました。人気のクラウドサービスを将来にわたって確実に支えるための設計立案、データセンターへの納入に関する事前調査・現場調整などの周辺サポートも確実で、スケジュールどおりの導入をリードしてくれました」と、同社開発本部 インフラ開発部 東京インフラ開発1課 リードエンジニアの松本 隆二氏は述べた。
今回同社は、特にデータの多い楽楽精算・楽楽明細・楽楽販売の3サービスにPure Storage を適用。楽楽精算では最大限の冗長化を図るためPure Storage FlashBlade S200(160TB)を2基、楽楽明細と楽楽販売は合わせてPure Storage FlashBlade S200(320TB)を1基、それぞれ採用した。前者は東日本、後者は西日本でシステムを整備、各地のチームによって運営されていますが、ユニアデックスはいずれの環境でも迅速な導入から安定的な運用までトータルでサポートしている。
効果・今後パフォーマンスは10 倍、年間コストは10 分の1
的確かつスピーディーな支援サービスで安定的な運用を実現
Pure Storageの導入効果は顕著だった。ストレージのレイテンシーは10分の1に削減され、容量密度は5~6ラックから1ラックまで圧縮、同一デバイスで当初の4倍の容量まで拡張できる。調達やデータセンター費用まで含めた将来的な年間コストは、およそ10分の1まで削減できることがすでに明らかになっている。松本氏はピュア・ストレージのEvergreenプログラムを高く評価しており「保守が維持されていれば最新のコントローラーへ容易・安価に更新でき、実質的にEOL(サポート終了)が存在しません。データ移行作業も不要で、オンラインのままで更新できるのも魅力ですね」と語る。
また永易氏は、Pure Storageのクラウド型管理ツールである「Pure1」を高く評価しており「ストレージ技術に長けていなくとも管理できますし、ユニアデックスの的確でスピーディーなサポートサービスもあるため、一人でも問題なく運用できるという印象です。現状でも少人で対応できていますが、さらにチームを縮小し、より重要なミッションに割り振ることすら可能だと考えています」と述べる。
永易氏によれば、将来的には、各種サービスのデータをPure Storageへ統合していきたい意向だ。さらに同社では、「Pure Storage FlashArray」の採用を進めて、全社的なランサムウエア対策の強化も図っていく計画である。ストレージでセキュリティー対策を強化できるという点も、ピュア・ストレージを高く評価するポイントだ。
「楽楽シリーズのAI OCR機能は、非常に精度が高く、アピールポイントの1つだと考えています。将来的にはAI専門チームを設立する計画もあり、AI技術の積極的な開発や導入を進め、先進的な機能やサービスを提供していきたいと考えています。そうした将来では、データの肥大化は避けられません。PureStorageはトータルコストを大幅に削減でき、優れた費用対効果を発揮するストレージだと実感しています。ユニアデックスは、私たちのプロジェクトのイニシアチブを執って、スムーズな導入の実現に寄与してくれました。ストレージは、クラウドサービス事業者にとって重要な要素の1つです。今後も高品質なサポートを維持し、安定的なクラウドサービスの提供を支えてほしいと考えています」(公手氏)
2024年09月取材