導入詳細
経緯激変するビジネス環境に適したITインフラを目指し、抜本的見直しを決断
田辺工業株式会社では、事業・拠点拡大に合わせてITインフラを拡張してきたが、昨今のDX 潮流によるデータ流量の増加への対策、また拡張に合わせたセキュリティーへの対策が課題であった。

デジタルイノベーションセンター
センター長
木場 圭氏
当時の状況を、デジタルイノベーションセンター センター長の木場 圭氏は、次のように語る。「当社は拠点、エリアごとに地域のベンダーが存在し、部分最適要素の高い情報インフラとなっていたことが大きな課題でした。全体をどのように最適化すればよいのか、どこから進めていけばよいのか、非常に難しい状況にありました。私は、顧客向けのスマートファクトリーやデジタルツイン、現場のDXなど、情報通信技術を活用した新たな事業の立ち上げを担う立場として3年ほど前に入社した身ですが、建設業界でもデジタル化やリモートワークニーズの高まりなどでビジネス環境が大きく変化し、当社もそれに対応したITインフラに改善していく必要があると強く感じました。そこで、社内で課題を提起し、情報システム部門と連携してITインフラを最適化していくプロジェクトを立ち上げました」

管理部 情報システム課
課長代理
清水 陽一氏
同社で情報システム部門を担当する、管理部 情報システム課 課長代理の清水 陽一氏は、「コロナ禍で一気にTV会議の利用頻度が上がり、既存の仕組みにおける音声や映像の遅延が大きな課題になっていました。それを機に、木場氏に相談したのがきっかけで、社内での連携が始まりました。その取り組みの中で、Microsoft Teamsへの移行も進み、これまでも感じていたネットワークの遅延やセキュリティー対策などへの課題認識がさらに高まりました。今回のプロジェクトは、これからの働き方に適した当社のITインフラを抜本的に改善する良い機会だと捉えました」と話す。
木場氏、清水氏らは現状の課題と改善の必要性を経営層に訴え、正式に会社のプロジェクトとして承認を得る。「当時の社長(現会長)含め経営層に上申した結果、これからのデジタル化やDX推進に向けた基礎部分である情報インフラの改善を、改めて経営課題として取り組んでいくことになりました」(木場氏)
この時点でのポイントは、パートナー選びだった。「部分最適化したITインフラを改善しながら、最新技術の導入やセキュリティー対策の強化に取り組むなど課題は多く、非常に難しい計画立案が必要であったため、課題点の抽出から改善実行までをうまく導いてくれるパートナーをどう探すか。本件は質を重視したかったので、プロポーザル方式で6社ほどに提案を依頼しました」(木場氏)
プロセス6社からの提案を比較し、満場一致でユニアデックスを選定
段階的にネットワークとセキュリティー強化を進める
こうして各社からの提案を受けた同社は、比較検討を実施。その結果、満場一致で選ばれたのがユニアデックスだった。木場氏はその理由を次のように明かす。「まず、全国規模で対応できることが基本条件。その上で各社の提案を比較したときに、ユニアデックスの提案が一番、確実に実行できるという安心感がありました。当社の情報システム部門と伴走する頼れるパートナーになっていただけそうだと感じました。他社は担当者のスキルや経験に依存する印象があったのに対し、ユニアデックスのITコンサルティングサービスは提案段階からプロセスやメニューが明確で、しっかり仕組み化されていました。長いお付き合いの中で仮に担当者が変わったとしても、持続して支援してくれる期待がありました」
清水氏は「他社はいろいろな専門企業を連れて来て、誰が責任を持つのか不明瞭な印象なのに対し、ユニアデックスは担当者がしっかりフロントに立ち、社内外の各スペシャリストを後ろでコントロールしてくれる点も、明確な違いがあったように思います。ユニアデックスならしっかりやってくれる、と信頼できました」と話す。
こうして2021年11月、ユニアデックスとのプロジェクトがスタート。両社が初めに取り組んだのが、現状の課題点を洗い出し、着手の優先順位を決める課題設定ワークショップだった。「実際に東京本社に来ていただいて、我々とユニアデックスの担当者が一緒に、思いつく課題点をどんどん挙げ、それを付箋紙でカテゴリごとに整理し、優先順位を決めていったのが印象に残っています」(木場氏)「ディスカッションしながらなので当社側では思い付かない課題も示唆いただけて、漏れもなく素早く進めることができました」(清水氏)
この中で、セキュリティー対策の観点でのネットワーク強化、具体的には拠点ごとのネットワークの改善、およびファイアウオールや無線LAN環境の改善などが、当面のスコープと決まる。「さまざまな課題がある中、基礎的な構成をしっかりと固めていくことが最も重要であるということが結論でした」(木場氏)
一般的なコンサルティングサービスは課題の抽出から計画の策定までを行うがユニアデックスの場合、その後の具体的な導入計画と費用算出、ならびに構築、運用といった実行のプロセスまでを一気通貫で対応する。本プロジェクトではITコンサルティングサービスの実施後、2022年4月から2023年8月までにネットワーク標準モデルを作成した上で、約60カ所の拠点ネットワークおよびセキュリティー、無線LANなどの最適・最新化が完了。それと並行して、情報セキュリティー規程の改善とISMS認証をベースとした、さらなる課題点の抽出および支援を実施した。

効果・今後DXに向けた土台作りに確かな手応え
これからも継続した変革を推進
木場氏は現時点での成果、およびユニアデックスの対応をこう評価する。「確実に、これからのデジタル化・DX推進に対応していけるITインフラに大きく改善されている実感があります。経営層への予算上申において、ITコンサルティングサービスで得られた各種のデータおよびレポートが説得力につながりました。やれるという自信がないと、提案もできませんので。さらに、当初は何をやっているの? という反応だった各拠点でも、情報セキュリティー規程が改善されたり情報セキュリティー委員会が立ち上がったりしたことで、会社としての本気度が伝わり、『これからの時代、こういう取り組みは重要度が増していくよね』という雰囲気が醸成されてきた。ユニアデックスのITコンサルティングサービスは、しっかりと仕組み化されている点は当初の期待どおりでしたが、実施する中で当社特有の状況やニーズにも、柔軟にしっかり合わせてくれる点がありがたかった。そのような姿勢があったからこそ、良いパートナーとして確実に取り組めてきたと思います。それに、基本『これはできません』というのがない。構築においても当社の考えをしっかり吸収していただき、対応力も高いと感じました」
清水氏は、「この2年近くユニアデックスに伴走いただいて、我々も情報システム部門として専門性の高い業務に注力できるようになってきています。ネットワーク標準モデルや情報セキュリティー規程を整備したことで、各拠点への展開時のほか、新規拠点の開設時も安心です。次のステップでは、ファイルサーバーなどを最適化し、運用の効率化と共にデータ管理のあり方を含めて改善していく予定です」と語る。その中では、クラウドシフトを進めていく方針だという。
最後に木場氏は、本プロジェクトの意義とユニアデックスへの期待を、次のように結んだ。「ITコンサルティングサービスは、世の中の変化に対応するために当社が目指していく最適なITインフラに導いてくれたと考えています。その結果、ITインフラやセキュリティーの重要性について改めて、社内全体の理解が深まり、デジタル化・DX推進に向け、より加速していけると感じています。ユニアデックスにはこれからも引き続き、これまでと変わらぬ支援を期待しています」
2023年12月取材