仮想デスクトップ環境導入事例

国立大学法人 東京農工大学 様

授業/自習用の仮想デスクトップ環境をクラウドサービスとして提供
PC教室を撤廃し学生のPC持ち込み(BYOD)対応を全学で推進

国立大学法人 東京農工大学 様:イメージ画像

常に最新のICTを活用して学術情報基盤の整備を推進している東京農工大学は、学内でPCを用いて行う授業/自習用の環境をすべてクラウド化し、学生は所有するPCから仮想デスクトップ環境へアクセスする仕組みへ全面的に移行した。他に例を見ない画期的なシステム環境の実現と、全学対象に利用端末のBYOD化を進める同学の取り組みに、文教関連のシステムインテグレーションの実力を持つユニアデックスが大きく貢献している。

業種
公共・文教

事例概要

導入までの経緯

  • PC教室内での授業中、使われていないPCが存在しており、PC稼働率が低く、使う場所に制限があった。
  • 授業で用いるソフトウエアの調達(購入)、PCへの導入や端末の維持管理に要する人的労力とコストが大きかった。
  • 個人所有のPC端末の環境はさまざまで、統一された環境での授業や自習は困難だった。

導入後の効果

  • PC教室という場所に依存せず、ネットワークが利用できれば、学内のどこでも「仮想PC教室」で受講できる環境が整った。
  • クラウドサービスを利用することで、通常の端末を並べたPC教室の維持管理コストとソフトウエアの購入・ライセンス管理の負担を削減した。
  • システム環境や機器構成の冗長化、SDSの採用などをベンダーの支援も受けながら適切に行うことができた。

システムの特徴

  • 電子計算機システムに関わるすべてのサーバーシステムをクラウドで提供し、運用負担を大幅に削減
  • 仮想デスクトップは、HTML5対応ブラウザがあれば利用可能
  • 多数の端末のアクセスを収容する高速無線LAN環境を学内全域で整備
  • 授業予約システムで仮想デスクトップ環境のシステムリソースを効果的に活用
  • システムの特徴:図

導入詳細

経緯利用率の低いPC教室を撤廃して仮想デスクトップ環境への移行を決断
学生のPC持ち込み(BYOD)対応を全学で推進

東京農工大学では、学内に設置していたPC教室が授業以外で利用率が低く、端末とソフトウエアの維持管理にかかるコストと人的労力の高さが問題となっていた。そこでPC教室をなくし、学生が所有するPCの持ち込み(Bring Your Own Device:BYOD)と、仮想デスクトップによる統一された授業/自習用環境の提供へ全面的に移行することを決断した。

萩原 洋一氏:写真
国立大学法人 東京農工大学
総合情報メディアセンター
教授 博士(工学)
萩原 洋一氏

「学生は学内のいろいろな場所でスマートフォンなどを使っています。PC教室は、授業の他には使われていませんでした。そこでPC教室の維持にかかるリソース(コスト)を仮想デスクトップのシステムに充てるほうがよいと考えました。こうした大きな改革ができるのは、5年に一度のシステム入れ替えのタイミングだったということです。」と萩原氏は話す。

「提供するシステムが、学生が卒業して社会に出ていくときに陳腐化していては意味がありません。最低でも4年後にスタンダードである、もしくは最先端であることが必要だと常に意識しています。」(櫻田氏)

プロセス前例のない画期的なシステムの実現に向けて
ユニアデックスがプロジェクトをスピーディーに進行

櫻田 武嗣氏:写真
国立大学法人 東京農工大学
総合情報メディアセンター
講師 博士(工学)
櫻田 武嗣氏

今回のシステムは学内に一切の設備を持たず、すべてクラウドサービスとして提供することを目指した。また学内では多数の端末からのアクセスに堪える高速大容量の無線LAN環境も必要となった。こうした多岐にわたる検討を2014年後半から2015年前半にかけて学内で実施し、2015年7月に仕様書を公示。同年9月にユニアデックスが落札した。2016年2月からの運用開始に向けてプロジェクトを進めたが、国内の大学では前例がない画期的なシステムの実現ということもあり、ベンダーには並みならぬ対応力と品質が求められた。

三島 和宏氏:写真
国立大学法人 東京農工大学
総合情報メディアセンター
助教 博士(政策・メディア)
三島 和宏氏

「以前から、できるだけ簡単にシステムを使いたい、利用させたいということを考えていました。いろいろなシステムがあってもアクセス手段はWebブラウザに統一する、仮想端末教室を作るだけでなく管理のための予約システムも設けるといったことがポイントとなっています。」(櫻田氏)

「今回のシステムはクラウド、仮想デスクトップ、無線LAN、各種ソフトウエアと必要なものを集めてインテグレーションする能力が重要で、1社で完結するようなものではないと思っていましたが、ユニアデックスは最後までしっかり対応いただきました。」(三島氏)

効果・今後すべてのシステムのクラウド化により学内の負担を大幅削減
授業予約システムで効率的なリソース運用を可能に

石橋 みゆき氏:写真
国立大学法人 東京農工大学
総合情報メディアセンター
石橋 みゆき氏

正式な稼働前に50台ほどの端末でテストを行い、問題ないと判断して予定通り2016年2月から運用を開始した。現在までトラブルはなく、授業で使うソフトウエアの導入をはじめ端末の維持管理にかかる負担も大きく削減されている。仮想デスクトップによる授業は、事前に教員がシステム(仮想PC教室)の利用を予約し、その時間に学生がシステムにアクセスすることで、教室に集まって授業を行うという大学の基本的な考え方に即した仕組みとしている。ここで用いられる予約システムを新たに開発し、合わせて学内のID申請管理システムも見直しが図られた。

「IDやメールアドレス、IPアドレスなどの申請と払い出しは、業務フローの見直しから行って統合的な管理を実現し、とてもスムーズに対応できるようになりました。申請する教員や学生の負担も減っていると思います。」(石橋氏)

「仮想デスクトップの予約システムは、教員が簡単な操作で授業に必要なリソースを予約でき、使い勝手の良いものを作ることができました。今回の一連のシステムは、他の大学の事例などを踏まえ、そこで見えてきた問題点をどうすれば解決できるかを考えて、行き着いたものだと思っています。端末側はHTML5に対応した最新のWebブラウザが使えればよく、あまり処理能力を必要としないこともポイントです。すでにある機材や古い端末を活用しながら、今後新しい環境へ置き換えていくためのベースとしても有用な仕組みを作り上げることができたと言えるでしょう。」(三島氏)

2016年09月取材

お客さまの評価

素晴らしいシステムを作り上げてくれたことに感謝

我々が目指した電子計算機システムと仮想端末構成という大きな仕組みだけでなく、ID申請管理システムまで対応いただき、他の教育機関にも展開できるほど素晴らしいものを作り上げてくれました。 (萩原氏)

携わった方々が期待以上の成果を実現

ユニアデックスはとてもフットワークが良く、期待以上の成果を出していただいたのは良かったです。今後の運用でも引き続きよろしくお願いいたします。 (櫻田氏)

課題だったコスト負担を大きく削減

これまでPC教室に設置していた多数の端末の維持にかかるコストを、ハードウエア、ソフトウエアともに大きく削減することができたのは非常に良かったと思います。 (三島氏)

いろいろな問い合わせにも率先して対応

エラーやトラブルがない点には本当に感謝しています。また、確認事項などにも率先して対応いただき、誰に聞けばよいのかと悩む心配がなく、こちらの負担が大きく下がりました。 (石橋氏)

お客さまプロフィール

国立大学法人 東京農工大学

  • 所在地
    本部:東京都府中市晴見町 3-8-1
  • 工学府・工学部/小金井キャンパス
    東京都小金井市中町 2-24-16
  • 農学府・農学部/府中キャンパス
    東京都府中市幸町3-5-8
  • 創立
    1874年(明治7年)
  • 学生数
    学部生 3,815 名(2016 年 5 月 1 日時点)
    大学院生 1,891 名(2016 年 5 月 1 日時点)