導入詳細
経緯デジタル化による大学の改革などDXとダイバーシティーの推進に注力

経営学部 市場戦略学科 教授
青木 茂樹氏
駒澤大学は開校から140年以上の長い歴史と伝統を誇る。「こうした伝統に裏付けられた学びを大切にするとともに、現代のDXやダイバーシティー、サステナビリティーといった取り組みを積極的に進めています」と話すのは総合情報センター 所長兼経営学部 市場戦略学科 教授の青木茂樹氏だ。
同大学では、デジタル化の推進による大学のマネジメント改革と、ダイバーシティーの尊重による「個」を生かす大学の実現に力を入れる。そして、DXの取り組みでは「学びのDX」「受験のDX」「学生生活・就職サポートのDX」「社会貢献活動のDX」「学内業務のDX」を掲げる。例えば「学びのDX」は、新型コロナウイルス感染症拡大前からLMS(学習支援システム)を利用した授業運営を行っていたが、コロナ禍を契機にさらに活用が加速。授業に関連した情報の配信や出席情報の記録、課題やレポートの提出などで利用されている。
こうした学生や教職員のITインフラを支えるのが、総合情報センターだ。学内ネットワーク「KOMAnet」の運用管理、アカウント管理、PC教場・情報グループ学習室の管理、PC利用に関わる技術的なサポート窓口の運営などを担う。

情報ネットワーク課長
山本 典之氏
また「学内業務のDX」では、ワークフローシステムやクラウド型グループウエアを活用する。ワークフローシステムにより、申請に関わる業務フローの見直しや業務の効率化を可能にしている。こうしたシステムのほか「主に事務職員が利用する人事や財務といった業務系システムをオンプレミスの仮想環境で運用していました。その保守切れが近づいたことから、更改するシステム基盤をオンプレミスのままとするか、クラウドサービスに移行するのかが検討課題として持ち上がっていたのです」と総合情報センター 情報ネットワーク課長の山本典之氏は話す。
プロセスMicrosoft AzureとRubrikを組み合わせた業務系システムのITインフラを構築

情報ネットワーク課 インフラ係 係長
分銅 淳至 氏
駒澤大学では業務系システムをほぼ5年ごとに更改してきた。前回はオンプレミスの仮想環境でシステムを更改し、キャンパス内のサーバー室に設置、運用管理してきた。オンプレミスの基幹系システムについては「災害対策、BCP(事業継続計画)の観点から学内に設置するのはリスクがあり、学外のデータセンターでハウジングしています」と総合情報センター 情報ネットワーク課 インフラ係 係長の分銅淳至氏は説明する。
更改する業務系システムについても、学内に設置する場合は災害リスクがある。加えて「オンプレミスでは管理も大変です。できる限り学内にIT資産は持たないという考えのもと、主要なクラウドサービスの活用を検討しました」(分銅氏)
さらに課題となったのが、ランサムウエア対策の強化だ。対策としてバックアップしたデータもランサムウエアに感染し、データの復旧ができなくなる事例も報告されている。「総合情報センターではランサムウエアなどへのセキュリティー対策の強化やリスク管理は最重要課題となっており、より安全・安心なITインフラの構築が求められていました」と青木氏は話す。
さまざまなITベンダーの提案の中から採用したのが、ユニアデックスのマルチベンダー、ワンストップ対応の強みを生かした「業務系統合クラウド基盤構築」だった。具体的には、移行対象の仮想マシンのほとんどがWindows OSであることから、親和性やメリットを考慮し「Microsoft Azure」が提案された。
中でも高く評価されたのがバックアップデータのセキュリティー対策としてユニアデックスが提案した、データセキュリティーソリューションの「Rubrik」だった。Microsoft Azureとの親和性が高く、他社のクラウド基盤と組み合わせた場合と比較して、より多くのランサムウエア対策に効果的なデータセキュリティー機能を活用できる。例えば、バックアップデータの削除や改ざんを防止するイミュータビリティー機能や、バックアップデータへの直接アクセスを防止するエアギャップ技術、AIを活用したバックアップデータ内の脅威の分析、ランサムウエア検知、自動的なデータリストアによる迅速な復旧などの機能を備え、バックアップデータの保護が可能になる。

情報ネットワーク課
森 寛通氏
「ユニアデックスからMicrosoft AzureとRubrikの提案を受け、この組み合わせであればバックアップデータまでカバーできると感じました」と総合情報センター情報ネットワーク課の森寛通氏はユニアデックスの提案を評価する。

効果・今後Microsoft Azureの安定運用とRubrikの分かりやすいGUIを評価
2023年12月から財務、人事、資産管理、PC教場・情報グループ学習室などの予約管理、ソフトウエアのライセンス管理、教職員・学生の認証システムなどをMicrosoft Azureの仮想基盤上に移行するとともに、Rubrikによるデータバックアップの稼働を開始した。業務系統合クラウド基盤の設計から構築、保守サポートまで、豊富な導入・保守実績を持つユニアデックスが一貫してサービスを提供する。
Microsoft Azureの利用を支援するクラウド利用・サポートサービスの「CFu(CLOUDForesight utility)」のうち、総合情報センターでは24時間365日の障害復旧の支援が可能な「スタンダード24/365」プランを導入している。
仮想基盤の設定はユニアデックスが行い、通信やアプリケーションなどの設定作業は総合情報センターが実施。「その際、Microsoft AzureのセキュリティーやRubrikの使い勝手を確認しました。通信ポートの設定でもMicrosoft Azureのセキュリティーは強固なことや、RubrikのGUI(Graphical User Interface)は分かりやすく使い勝手がよいことを確認できました」と分銅氏は振り返る。
CFuでは、Microsoft Azureに精通したエンジニアがクラウドからOS・ミドルウエアまで24時間365日の問い合わせ対応と障害復旧の支援を行う。さらに、障害発生時にサポートポータル経由でいち早く通知する障害監視やセキュリティー診断などのサービスを提供する。
「Microsoft Azureに移行後、特にトラブルもなく安定運用しています。オンプレミスの仮想環境のときには障害対応に時間を取られることもありましたが、今はそうしたこともなくなり本来の業務に集中できています」と森氏は運用面での導入効果を話す。
現在、RubrikはMicrosoft Azureの仮想マシンを対象としてデータのバックアップを行っているが、「学内にはオンプレミス環境を含め、さまざまなシステムがあります。総合情報センターにはCSIRT(Computer Security Incident Response Team)があり、各部署と連携しながら大学全体のデータセキュリティーを考えていくことも今後のテーマになります」と山本氏は話す。
データセンターにハウジングしている基幹系システムについても、数年のうちに更改を迎えることから、クラウドに移行するかどうかを含め、検討していくという。
ユニアデックスではさまざまな情報の提供や提案を通じ、駒澤大学のDXの推進とともに重要になるIT活用やセキュリティー対策、学内ネットワークなどのITインフラ構想の検討を引き続き支援していく。
2024年09月取材