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NaaSとは?従来型ネットワークとの違いを分かりやすく解説

NaaS(Network as a Service)は、最新のネットワークを月額料金で利用できるサブスクリプション型のサービスです。 従来型のネットワークと比べ、初期投資や運用負担を大幅に抑えられる点が特徴で、中堅企業や中小企業を中心に導入が進んでいます。

「5年前に導入したネットワーク機器がもう古くなってしまった」
「ネットワーク更改に、また数千万円かかる」
「IT担当者がネットワークのトラブル対応に追われている」

企業のIT部門の方なら、一度はこうした課題に直面したことがあるのではないでしょうか。
ネットワークインフラは、企業活動に欠かせないものです。しかし従来、その構築と運用には大きなコストと手間がかかってきました。数百万円から数千万円の初期投資、専門知識を持つ人材の確保、日々のメンテナンス。そして数年後には老朽化してしまうため、また同じプロセスが繰り返されます。
こうした課題を解決する可能性を持つのが、NaaSという新しいアプローチです。
本記事では、NaaSとは何かを基本から解説し、従来型のネットワークとの違いや導入メリット・デメリット、どのような企業に適したサービスなのかを分かりやすく整理します。

NaaS(Network as a Service)とは?仕組みを分かりやすく解説

サービスとしてのネットワーク

NaaSを一言で表すなら「ネットワークを買うのではなく、借りる」つまりネットワークを月額料金で利用するサブスクリプション型のサービスです。
これまで企業は、ルーターやスイッチといったネットワーク機器を購入し、自社の資産として保有してきました。
NaaSでは、この流れが変わります。機器は購入せず、サービス提供会社に対して毎月決まった料金を支払うことで、必要なネットワーク環境を「サービスとして」利用します。

サービスには何が含まれているのか

NaaSは単なる機器のレンタルではありません。ネットワークを「使う」ために必要なものが、パッケージとして提供されます。

  • ハードウエア:ルーター、スイッチ、無線アクセスポイント、ファイアウオールなど、ネットワークを構成する物理的な機器です。これらは企業が購入するのではなく、サービス提供会社が用意します。
  • ソフトウエア:最近のネットワーク機器は、ソフトウエアで制御されることが多くなっています。管理画面、設定ツール、自動化プログラム、そしてこれらを使用するためのライセンスも、すべて月額料金に含まれています。
  • サポートサービス:技術サポート、定期的なアップデート、機器が古くなった際の交換など、ライフサイクル全体をカバーします。
  • 運用サービス:多くの場合、運用サービスも含まれます。ネットワークの設計から構築、日々の監視、トラブルが起きた際の対応など、どこまで含まれるかは契約内容によりますが、運用の大部分をサービス提供会社に任せられるケースが一般的です。

つまり企業は「ネットワークを使う」ことだけに集中できるのです。


NaaSと従来型ネットワークの違い【コスト・運用・更新】

コストの考え方が変わる

従来型ネットワークとNaaSの最も分かりやすい違いは、お金の支払い方です。

  • 従来型:初期投資型
    従来型では、最初に大きな投資が必要でした。例えば、30台程度のアクセスポイントでWi-Fi環境を整えようとすると、機器代だけで数百万円以上、設計や工事費を含めれば一千万円以上かかることも珍しくありません。 購入したアクセスポイントは会社の資産として計上され、法定耐用年数の10年をかけて減価償却されます。月々の出費は保守契約の費用程度で、比較的小さく抑えられます。ただし実際には、技術革新のスピードが速いため、5〜6年程度でのリプレースが一般的です。法定耐用年数の10年を待たずに、また同程度の金額を投資してリプレースする必要があります。

  • NaaS:月額課金型
    NaaSでは、初期投資はほぼゼロです。そのかわり、毎月決まった料金を支払います。同じアクセスポイント30台規模なら、月額20〜30万円といったところでしょうか。 年間では240〜360万円、5年間では1,200〜1,800万円になります。トータルで比較すると、実は従来型とそれほど大きな差はありません。 ただし重要なのは、お金の流れ方が全く異なるということです。どちらが良いかは、会社の財務状況によります。しかし、確実に言えるのは、NaaSの方が予算を組みやすいということです。毎月の支出が固定のため、キャッシュフローの管理がしやすくなります。 また、NaaSの月額料金には、機器代だけではなく、運用コストも含まれています。従来型で自社運用をする場合の人件費や時間を考えれば、実質的なコストは変わらないか、むしろNaaSの方が安くなる可能性もあります。

運用の負担が減る

従来型ネットワークとNaaSには、運用負担の違いもあります。

  • 従来型:自社で運用
    従来型では、基本的に自社のIT部門がネットワークの運用業務を担います。中小企業の場合、IT担当者は1人か2人、多くても数人程度です。その限られた人数で、ネットワークだけではなく、サーバーもパソコンもクラウドサービスも全て管理しなければなりません。ネットワークのトラブルが発生すると、対応だけで一日が終わってしまうこともあり、他の業務の遅延につながる場合があります。

  • NaaS:運用の選択肢が広がる
    NaaSには大きく2つの運用のパターンがあります。
  • ・パターン1:ハードウェアサブスクリプション型
    ハードウエアは月額で借りて、運用は自社で行うパターンです。初期投資は不要になりますが、日々の運用は従来型と同じように自社のIT部門が担当します。「とにかく初期投資を抑えたい」「運用は自社でできる」という企業には、このパターンでも十分でしょう。
  • ・パターン2:マネージドサービス型
    ハードウエアだけではなく、運用もサービス提供会社に依頼するパターンです。トラブルが発生した際は、提供会社が検知して対処してくれます。多くの場合、利用する企業が気づく前に問題を解決してくれます。定期的なメンテナンスも、機器のアップデートも、すべて提供会社が行います。
    そのため、企業のIT担当者は「ネットワークが正常に動いているか」を確認するだけで良くなります。トラブル対応に追われる時間が減り、本来やるべき戦略的な業務に時間を割けるようになります。
ハードウエアサブスク型:機器の貸し出し、運用は自社、初期投資削減が目的
フルマネージド型:機器の貸し出し、運用も委託、IT負担軽減が目的

技術の進化への対応

ネットワークの技術は日々進化しています。しかし、いつどのように新しい技術を取り入れるかは、企業にとって悩ましい問題です。

  • 従来型:大きな投資サイクル
    従来型では、一般的には5〜6年程度でリプレースが必要になります。しかし、その間に新しい規格や機能が登場しても、すぐには対応できません。
    「去年Wi-Fi 6を導入したばかりなのに、もうWi-Fi 7の機器がでている」
    「セキュリティの新しい脅威に対応するには機器の買い替えが必要だが、予算がない」
    こうしたジレンマを、多くの企業が経験しています。

  • NaaS:柔軟な技術革新
    NaaSでは、技術更新の負担はサービス提供会社が担います。これにはいくつかのメリットがあります。まず、ソフトウエア更新は契約期間中に随時適用されます。そのため、セキュリティパッチ、機能追加、バグ修正など、ハードウエアを交換しなくても対応できる改善は、継続的に提供されます。ハードウエアの更新は、契約内容によって異なりますが、一般的に3〜5年のサイクルで計画されています。これは従来型と同じサイクルに見えるかもしれませんが、重要な違いがあります。
    従来型では、企業自らが更新時期を判断し、予算を確保し、プロジェクトを立ち上げ、実行する必要があります。しかし、NaaSの場合はこのプロセス全体がサービスに含まれています。更新費用も月額料金に含まれているため、突然の大きな出費はありません。サービス提供会社と相談しながら、自社のビジネスニーズに合わせて柔軟に対応できます。

NaaSのメリット|初期投資・運用負担・技術更新

ここまでの説明を踏まえて、NaaSのメリットを整理します。
以下は、従来型ネットワークとNaaSを「コスト」「運用」「更新」の観点で比較した一覧です。

比較項目 従来型 NaaS
初期投資 数百万〜数千万円が必要
稟議・承認に時間がかかる
ほぼゼロ
すぐに始められる
予算の予測 突発的な出費(故障、保守更新)
予算が組み立てづらい
月額固定
年間予算が組み立てやすい
運用負担 自社IT部門が対応
トラブル対応に追われがち
サービスに含まれるケースが多い
本業に集中できる
技術更新 5〜6年ごとに大きな投資が必要
更新タイミングの判断が必要
3〜5年サイクルで自動更新
月額料金に含まれる
拡張・縮小 機器購入や設置に時間とコストがかかる
柔軟な対応が難しい
必要な際に迅速に対応
ビジネスの変化に追従

さらに、最近のNaaSではAI(人工知能)や機械学習の技術が活用されています。

AIによる自動最適化の例

  • 異常検知:トラフィックパターンから「いつもと違う」傾向を自動検知、問題が大きくなる前に対処
  • 予測分析:過去のデータから混雑時間を予測し、事前に帯域調整やリソースの配分を実施
  • 自動対応:人が気づく前にAIが問題を解決

こうしたAI技術を自社で開発・導入するには、それなりのコストと専門知識を持つ人材が必要です。NaaSなら、サービスの一部として、最新のAI技術の恩恵を受けられます。


NaaSのデメリットと注意点

もちろんNaaSは良いことばかりではありません。

期間や規模により割高になる可能性

これはNaaSに限らず、SaaSやIaaSなど、as a Service全般に言えることですが、サブスクリプションモデルは、使い続ける限り毎月支払いが発生します。従来型のように「一度支払いをしたら終わり」ではありません。
利用期間や規模によっては、NaaSのトータルコストは従来型よりも高くなる可能性があります。たとえば、10年以上の長期利用や、大規模な拠点展開などのケースです。
ただし、これは単純なコスト比較では測れない部分もあります。技術の進化、運用コスト、柔軟性など、総合的に判断する必要があるでしょう。

サービス提供会社との関係

NaaSを使うということは、自社のネットワークをサービス提供会社と一緒に運用していくということです。
従来型のように「機器を購入したら終わり」ではなく、長期的なパートナーシップになります。そのため、提供会社との相性やサポート品質が、日々の満足度に直結します。
また、一度NaaSの利用を始めると、他のサービス提供社に乗り換えることは容易ではありません。ネットワークは止められないため、慎重な移行計画が必要になります。
だからこそ、最初のサービス提供会社の選定が重要です。単に価格だけではなく、サポート体制、実績、技術力、そして長期的に信頼できるかどうかを見極めることが大切です。

細かいカスタマイズが難しい

NaaSは、基本的に標準化されたサービスです。多くの企業に同じような形で提供することで、効率化しコストを下げています。
つまり、個別のカスタマイズには対応しにくいと言えます。非常に特殊な要件がある企業や独自の方針がある企業には、NaaSは向かないかもしれません。導入を検討する際は、自社の要件がNaaSで満たせるのか、事前にしっかり確認することが重要です。


まとめ

NaaS(Network as a Service)は、ネットワークを月額料金で利用できる新しいサービス形態であり、従来型のネットワークと比べて初期投資や自社の運用負担を大幅に抑えられる点が特徴です。
ネットワークを「買って持つ」のではなく、「借りて使う」という新しいアプローチで、ハードウエア、ソフトウエア、ライセンス、サポートサービス、そして多くの場合は運用サービスまで、すべてが月額料金に含まれています。初期投資はほぼゼロで、運用の手間も大幅に減ります。
特に、中堅企業や中小企業、成長フェーズにある企業、複数拠点を持つ企業、IT人材が限られている企業、初期投資を抑えたい企業には、NaaSは大きなメリットをもたらすでしょう。一方で、特殊な要件がある企業や、長期的に変化の少ない環境で使い続ける企業には、従来型の方が良い場合もあります。
NaaSがすべての企業に最適とは限りません。しかし、選択肢の一つとして検討する価値は十分にあります。

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