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IT人材不足はなぜ深刻化するのか?企業が見直すべき「運用モデル」

IT人材不足は多くの企業にとって、すでに「将来の話」ではなく、いま目の前にある大きな課題です。増え続ける運用業務に対応しながら、DX推進やセキュリティ対策まで担うことが求められる一方で、現場では人手が足りず、高度な専門性を持つ人材の確保も難しくなっています。しかし、採用や育成だけでこの状況を乗り越えるのは、構造的に困難だと言わざるを得ません。
本記事では、IT人材不足の現状を公的データで整理したうえで、企業が取るべき「運用モデルの見直し」という考え方と、業務の切り分け方を紹介します。

IT人材不足の現状と見通し

「IT人材が足りない」という声は至るところで聞かれますが、具体的にどのような数値が示されているのでしょうか。まずは公的データを基に、現在の不足状況と2030年に向けた将来予測を整理します。

IT人材不足は深刻である

IT人材不足は、すでに多くの企業が実感している課題ですが、公的データを見るとその深刻さが改めて浮き彫りになります。
厚生労働省の「IT・デジタル人材の労働市場に関する研究調査事業報告書(令和5年度)※1」によると、企業におけるDX推進の加速などを背景として、2030年までに最大約80万人のIT人材が不足するとの見通しが示されています。

ユーザー企業の情報システム部門で特に深刻である

独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)「DX動向2025(3.2. 人材の過不足状況 )※2」によると、DX推進人材が不足していると回答した日本企業は85.1%にのぼります。米国の23.8%、ドイツの44.6%と比較すると突出して高く、この傾向は2022年度から2024年度にかけて経年的な改善が見られません。
特に深刻なのが、ユーザー企業の情報システム部門です。IPA「DX動向2024 - 深刻化するDXを推進する人材不足と課題((5) 従業員数、業種別の過不足状況 )※3」では、ITサービスを提供するIT企業よりも、ITを活用する側である事業会社の情報システム部門で、人材不足が深刻化している実態が示されています。
この状況は今後も構造的に解消しにくいでしょう。IT需要はDX推進、クラウド移行、セキュリティ強化といった領域で拡大を続けており、供給が常に追いつかない構造となっているためです。少子高齢化により労働人口そのものが減少に向かう一方で、AI・クラウド・セキュリティなど先端領域の人材ニーズは高まり続けており、需給ギャップは拡大の一途をたどっています。


IT人材不足が企業に与える影響

IT人材不足は、単に「人が足りない」という問題にとどまらず、企業のIT運用に複合的なリスクをもたらしています。

運用負荷の増大

まず挙げられるのが、運用負荷の増大です。クラウドやSaaSの導入が進むにつれて管理対象は年々拡大し、担当者の業務量は増加の一途にあります。日常的な運用や問い合わせ対応によってリソースが逼迫し、IT戦略の立案やDX推進といった戦略業務にまで手が回らない状況が常態化している企業は少なくありません。

属人化の進行

次に、属人化の進行です。限られた人員の中で業務が特定メンバーに集中し、その担当者だけが手順やナレッジを把握しているブラックボックス状態が生まれやすくなります。ナレッジの標準化やドキュメント化は後回しにされがちで、担当者の異動や退職がそのまま業務停止リスクに直結してしまいます。

リスクの顕在化

さらに、リスクの顕在化も進んでいます。人手が足りないことで監視や対応に抜け漏れが発生し、セキュリティインシデントへの対応が遅れたり、障害発生時の初動が遅延したりするケースが増えています。


従来の対策だけでは追いつかない理由

IT人材不足への対策として、採用強化や社内育成が重要であることは間違いありません。しかし、それだけでは業務増加のスピードに追いつけない構造が生まれています。
IPAの「DX動向2025※2」によれば、多くの日本企業が社内育成や既存人材の活用を中心に対策を講じているものの、依然として8割超の企業が「不足」と回答しています。つまり、従来の採用・育成というアプローチだけでは、もはや充足しないのが実情です。

採用が追いつかない理由

採用面では、IT人材市場全体が逼迫しており、そもそも必要な人材を確保すること自体が困難になっています。たとえ採用できたとしても、自社システムへの習熟や即戦力としての立ち上がりには時間がかかるでしょう。さらに、採用競争の激化に伴い人件費が高騰しており、中堅企業にとっては大手企業との獲得競争が厳しい状況にあります。

育成が追いつかない理由

育成面でも、多大な時間とコストがかかる一方で、短期的な効果は見込みにくいのが現実です。教育のために既存メンバーのリソースを割く必要があり、現場の負荷がさらに増すという悪循環に陥りやすい側面もあります。加えて、スキルを身につけた人材が、市場価値の高まりとともに好条件の他社へ転職してしまうリスクも無視できません。
結局のところ、IT業務の増加・高度化のスピードが、人を増やすスピードを上回っています。採用・育成だけでは構造的に追いつかない以上、運用の仕組みそのものを見直すアプローチが必要です。


解決策:運用モデルの見直しと業務の切り分け方

人に頼る対策が限界を迎えているいま、重要となるのは運用モデルの転換です。すべての業務を自社で抱え込むのでもなく、反対に丸投げするのでもない、業務特性に応じた適切な切り分けが持続可能な運用の鍵となります。
限られたリソースで安定した運用を維持するには「人を増やして頑張る」という発想から「仕組みを変える」発想への転換が不可欠です。業務の重要度に応じてリソース配分を最適化し、属人化やリスクを構造的に防ぐ必要があります。前述のIPA「DX動向2025(3.2. 人材の過不足状況 )※2」においても、日本企業は欧米諸国に比べて外部リソースの活用が進んでおらず、社内対応に偏りがちであることが示されています。この構造を打破することが、解決への第一歩と言えるでしょう。

業務を切り分ける5つの判断軸

それでは、どの業務を内製し、どの業務を外部に任せるべきでしょうか。
具体的には、以下の5つの判断軸で整理することができます。

1.競争優位に直結するか

自社のビジネス戦略やIT戦略の策定、ベンダー選定といった領域は、自社のナレッジとして蓄積すべきであり、内製で担うのが望ましいでしょう。

2.24時間365日の対応が必要か

システム監視や障害検知、セキュリティ監視などは、自社リソースだけで維持するのは困難であり、外部活用の優先順位が高いと言えます。

3.定型化・標準化しやすいか

パッチ適用やバックアップ運用、アカウント管理などは、手順を標準化しやすいため、外部活用との親和性が高い業務です。

4.高度な専門性が必要か

セキュリティインシデント対応やクラウド設計などは、専門の外部サービスの活用が合理的です。

5.障害時の初動速度が重要か

初動の遅れがビジネスに直結する領域は、24時間体制を持つ外部サービスの活用が有効です。

ハイブリッド型の推奨

こうした判断軸で業務を整理すると、内製と外部活用にはそれぞれ一長一短があることがわかります。

どちらか一方に偏るのではなく、両者の強みを組み合わせたハイブリッド型(内製+外部活用)が、多くの企業にとっての現実解となります。IT戦略や意思決定といったコア業務は内製で担い、定常運用・監視・障害対応などは外部の専門サービスを活用することで、リソースの最適配分と属人化の構造的な解消を同時に実現可能です。


GASSAIのご紹介

前章で述べたハイブリッド型の運用モデルを実現するサービスが、BIPROGYグループが提供するマネージドサービス「GASSAI®」です。GASSAIはBIPROGYグループの知見とノウハウを集約し、セキュリティ・デジタルワークプレース・ネットワーク・クラウドといったIT環境全体を包括的・統合的に管理します。

具体的には、以下の3つの価値軸で、情報システム部門が直面する課題を包括的に支援します。

リスクに備える

セキュリティ監視や障害検知・初動対応、脆弱性管理などを24時間365日の体制で提供し、情報システム部門の「守り」の負荷を軽減します。

利便性を高める

ヘルプデスクやデバイス管理、ワークプレース環境の最適化など、エンドユーザー対応の業務をアウトソースします。

可能性を広げる

クラウド移行や運用最適化に加え、将来的なデータ活用やAI活用も視野に入れた支援で、情報システム部門が「攻め」に転じるための基盤を整備します。

目の前の課題への個別対応だけではなく、今後のIT環境の変化にも柔軟に対応できる運用基盤を持つことが、これからの情報システム部門には求められます。ITの役割が「業務効率化」から「ビジネス変革の基盤」へと広がるなかで、運用も「守り」にとどまらず「攻め」の視点を取り入れていく必要があるでしょう。GASSAIは、こうした運用の変革を支援するサービスです。


まとめ

IT人材不足は構造的な課題であり、今後も短期間での解消は見込めません。採用や育成は引き続き重要ですが、それだけでは増大する業務スピードに追いつけないのが実情です。

企業が並行して取り組むべきは「運用モデルの見直し」です。業務を判断軸に基づいて切り分け、コア業務は内製、定常運用は外部活用というハイブリッド型の運用体制を構築することが、持続可能なIT運用の現実解といえます。

自社の運用体制に課題を感じているのであれば、まずは業務の棚卸を実施し「何を自社で担い、何を外部に任せるべきか」を整理するところから始めてみてはいかがでしょうか。