VMwareは継続すべき?仮想化基盤の最適化に向けた代表的な解決アプローチ4つを徹底比較
本記事では、VMware継続を含む、仮想化基盤の最適化に向けた代表的な解決アプローチを、ユニアデックス独自の視点を交えて解説します。
約6割の企業が他の仮想基盤への移行を検討中、または移行済み
まずは、他の仮想基盤への移行を検討している企業の割合や重視しているポイントなどを、当社の独自調査を基に見ていきます。
仮想基盤の移行計画について調査した結果、回答企業全体の約6割が他の仮想基盤への移行を検討中、または移行済みであることがわかりました。
一方で、既存環境からの移行は考えていないという回答(27%)も一定数あり、移行について慎重な姿勢を取る企業も少なくありません。
移行に際して重視するポイントはコストとサポート体制
移行の際に最も重視されているのは「導入・運用のコスト(46%)」でした。初期費用だけではなく、運用費用も含めたTCO(Total Cost of Ownership)の最適化を重視する傾向がうかがえます。
次に多かったのが「メーカー・ベンダーのサポート体制(28%)」であり、移行時の設計支援・トラブル対応や、運用フェーズにおけるサポート体制への期待が高いことも推察できます。
VMware vSphere 8のサポート終了が迫っている
現在も多くの企業がVMwareを利用していますが、VMware vSphere 8のサポート終了日は2027年10月12日に迫っており、猶予期間は決して長くありません。
サポート終了後も製品を継続利用することは可能ですが、2027年10月12日以降はバージョンアップやセキュリティパッチ、不具合の修正などのメーカーサポートを受けられなくなるため、早急な対応が必要です。
脱VMwareは、インフラ全体を見直す機会
脱VMwareの取り組みは、サーバーやストレージ、バックアップ、ネットワーク、運用体制などのインフラ全体を見直し、中長期的なIT基盤を最適化する機会でもあります。
移行を検討する際は、既存環境をそのまま置き換えるのではなく、システムごとの要件や将来の運用方針を整理したうえで、適した基盤を選択することが重要です。ライセンス費用はもちろん、運用性や拡張性、将来的な投資も含めて最適な構成を検討することで、中長期的なインフラの最適化を実現できます。
一方で現状維持(VMwareの継続利用)を選択した場合でも、ライセンス費用の高騰やサポート方針変更の影響を受け続けるリスクがあり、必ずしも安全な選択とは限りません。企業としては、VMwareを継続するのか、クラウドを活用するのか、あるいは他の仮想基盤へ移行するのか、自社のシステム要件と中長期的なIT戦略を踏まえた判断が求められています。
VMware継続だけではない。仮想基盤更改の選択肢
仮想基盤更改の各アプローチについて、メリットやデメリット、向いている企業などの観点で整理していきます。
| アプローチ | VMware継続 | クラウド移行 | 塩漬け | オンプレミス 脱VMware |
| 概要 | サポートバージョンにアップグレードの上、現行の VMware 環境を継続利用する | クラウドへ移行し、インフラ構成を見直す | 更改を見送り、現行環境を維持する | オンプレミス環境を維持しながら仮想基盤のみ刷新する |
| メリット | 移行に伴うコスト・リスクが発生しない | 各種クラウドサービスや最新技術を活用しやすい | 当面の投資を抑えられる | オンプレミスでの運用を維持しながらBroadcom社問題を回避できる |
| デメリット | ライセンスやサポートの不確実性が残る | コストの増加や大幅な設計変更が必要になる場合がある | 技術的負債やサポートリスクが蓄積する | 製品選定や移行プロジェクトが必要 |
| 向いている企業 | 従来からVMwareの製品を広く使っている | クラウドファーストを推進する企業 | 近い将来システム廃止・刷新予定の企業 | オンプレミスでの運用を継続したい企業 |
VMware継続
既存のVMware環境を継続利用し、ライセンス更新や価格交渉によって運用を続ける方法です。
メリット
- 移行コストやシステム停止リスクを抑えられる
- 現在の運用体制を維持できる
デメリット
- ライセンス体系やサポート方針変更の影響を受けやすい
- 中長期的なコストを予測しにくい
おすすめの企業
- 現状の運用を継続したい企業(現状運用の延長で機能拡張したい)
- 移行リスクを許容できない企業
クラウド移行
オンプレミス環境からパブリッククラウドへ移行し、インフラ全体を見直すアプローチです。
メリット
- ハードウエアの調達・保守が不要
- クラウドネイティブやAIサービスを活用しやすい
デメリット
- クラウド環境を見据えた、システム構成全体の大幅な見直しが必要
- ワークロードによってはランニングコストが増加する
おすすめの企業
- クラウド活用をIT戦略として推進する企業
- システム全体のモダナイゼーションを検討している企業
塩漬け
現行環境を維持し、基盤の更改を先送りするアプローチです。
メリット
- 初期投資を抑えられる
- システム変更に伴う業務への影響がない
デメリット
- Broadcom社問題(ライセンス費用の高騰、サポート方針の変更などを受け続けるリスク)は解決しない
- 技術的負債や保守リスクが蓄積する
おすすめの企業
- 近い将来にシステム廃止・刷新を予定している企業
- 一時的な延命策として利用したい企業
オンプレミス脱VMware
オンプレミス環境を維持したまま、仮想基盤のみをVMware以外の製品へ移行するアプローチです。
メリット
- オンプレミスでの運用を維持したまま基盤を刷新できる
- Broadcom社への依存を低減できる
- 目的に応じて製品を選択可能
デメリット
- 製品ごとに特徴や強みが異なり製品比較・評価の工数が発生する
- 移行設計・検証などのプロジェクトが必要
おすすめの企業
- オンプレミスでの運用を継続したい企業
- Broadcom社問題を回避したい企業
- 将来のIT戦略も見据えて基盤を刷新したい企業
どのアプローチを選ぶべきか
現時点では、クラウド移行を前提とする企業を除き、オンプレミスの環境を維持したまま仮想基盤を刷新する「オンプレミス脱VMware」が有力な選択肢となります。既存資産や運用ノウハウを活用しながらBroadcom社への依存を低減でき、運用変更を最小限に抑えつつ、中長期的なリスクにも対応しやすいことが大きな理由です。
ただし、すべての企業に共通する最適解は存在しません。自社のシステム要件やIT戦略を踏まえ、慎重にアプローチを選択することが重要です。
まとめ
Broadcom社によるVMware社の買収をきっかけに、多くの企業が仮想基盤の見直しを余儀なくされています。選択肢はVMwareの継続やクラウドへの移行だけではなく、オンプレミスの環境を維持したまま仮想基盤を刷新するオンプレミス脱VMwareなど多岐にわたるため、自社のシステム要件やIT戦略に応じた判断が必要です。
なお、オンプレミス向けの仮想基盤には、Red Hat OpenShift Virtualizationや、Nutanix AHV(Acropolis Hypervisor)、HPE Morpheus VM Essentials Software、Hyper-Vなど、さまざまな製品があります。それぞれ特徴や強みが異なるため、ライセンスの費用だけではなく、運用性や将来の拡張性まで見据えた製品選定が不可欠です。
次回は、これら移行先製品の選び方について詳しく解説します。
関連事例
Microsoft Azure/Rubrik for Cloud-Native Protection導入事例
駒澤大学様
業務系統合クラウド基盤の構築に併せ
バックアップデータのランサムウエア対策を強化
Azure VMware Solution 導入事例
ヒューマンリソシア株式会社様
基幹システムのクラウド移行をAzure VMware Solutionで実現。オンプレミス時の運用課題を解消し、DX推進を加速
VMware Cloud on AWS導入事例
株式会社ゼンリンデータコム様
VMware Cloud on AWSにより、商用サービス提供インフラのハードウエアからの解放とフルクラウド化を目指す
ハイパーコンバージドインフラ(HCI)導入事例
株式会社カプコン様
ワールドワイドなオンラインゲーム配信インフラを
VMware vSANによるHCIで構築